不妊治療コラム

COLUMN

当院における従来刺激法とPPOS法による胚発育の比較

2022年11月に行われた日本生殖医学会学術講演会における当院培養士の発表内容をご紹介いたします。

従来刺激法とPPOS法による胚発育の比較

【目的】

複数回採卵を実施した症例に対して胚の質向上を目的とし、従来刺激法と比較してPPOS法が有用であるかの検討を行った。

【方法】

当院にて、2020年11月~2022年8月に採卵を2回以上施行した28症例を対象とした。従来刺激法(GnRHアゴニスト周期、GnRHアンタゴニスト周期)にて採卵を行った30周期をC群、PPOS法の36周期をP群とし、c-IVFまたはICSIを実施後、正常受精率、Veek分類によるday2良好胚率、day2不良胚率、胚盤胞形成率および良好胚盤胞率をそれぞれ電子カルテの記録を基に後方視的に比較検討した。

【結果】

C群およびP群で、平均年齢(36.2歳 vs. 36.7歳)、AMH(2.52 ng/mL vs. 2.60 ng/mL)、平均回収卵子数(11.9個 vs. 13.0個)において、両群間に有意な差はみられなかった。受精率(57.5 % vs. 66.8 %)、day2良好胚率(30.5 % vs. 51.2 %)、day2不良胚率(64.6 % vs. 46.8 %)、胚盤胞形成率(24.8 % vs. 49.6 %)、良好胚盤胞率(13.3 % vs. 25.4 %)において、受精率、day2良好胚率、胚盤胞形成率および良好胚盤胞率では、P群が有意に高く(p<0.05)、day2不良胚で有意に低い結果となった(p<0.01)。

【考察】

本検討により、PPOS法は従来刺激法からの胚の質向上を期待できることが示唆された。今後はさらなる症例の蓄積とともに妊娠率、流産率や出産率についても検討していきたい。