不妊治療コラム

COLUMN

胚凍結・胚移植について ART06


胚の成長の段階や治療方針に合わせて、凍結保存のタイミング(分割期胚・胚盤胞)を適宜選択して凍結保存を行います。
当院では、胚の細胞を守るために「ガラス化法」という急速凍結技術を用いており、胚の質を保ったまま、将来の移植に備えて安全に保存しています。

胚移植

胚移植とは、体外受精や顕微授精で得られた受精卵(胚)を、子宮内へ戻す(移植する)治療です。
受精卵を体外で培養し、子宮内膜の状態が着床に適したタイミングに移植を行います。

当院では、子宮内膜の状態を最も良いタイミングに整えてから行う「凍結胚移植」を基本としています。
一方で、治療経過や患者様の状態によっては、採卵周期中に移植を行う「新鮮胚移植」を選択する場合もあります。

どの方法が最も適しているかは医師が診察や検査結果をもとにご相談のうえで決定いたします。

胚移植の方法

① 凍結融解胚移植(Frozen Embryo Transfer:FET)

一度凍結保存しておいた胚を融解(解凍)し、子宮内膜の厚さ・ホルモン状態を整えたうえで移植します。
→ 子宮の環境を最適化できるため、着床率・妊娠率が高いとされています。

② 新鮮胚移植(Fresh Embryo Transfer)

採卵の周期にそのまま移植を行う方法です。
→ 近年では、ホルモンバランスや子宮内膜の影響を避けるため、凍結胚移植が主流となっています。

子宮内膜の調整について

凍結胚移植にあたっては、子宮内膜を着床に最も適した状態に整えるための調整を行います。自然排卵に合わせて移植を行う「自然周期」や、ホルモン補充により日程を調整する「ホルモン補充周期」など、月経周期や過去の妊娠・分娩経過も参考にして最適な方法を選択いたします。

胚移植術

胚移植は、専用の細く柔らかいカテーテル(管)を用いて行います。胚を子宮内の着床しやすい位置まで慎重に戻します。
処置は数分程度で終了し、麻酔を必要としない手技で、多くの場合ほとんど痛みを感じることはありません。

妊娠判定

胚移植後は、約12日後に血液検査を行い、妊娠の成立を確認します。
妊娠が確認された場合には、胎のう(妊娠初期の袋)や心拍の確認のため、超音波検査による経過観察を行います。