不妊治療コラム
子宮頸癌について
日本における子宮頸がんの罹患状況
日本では 2021年 に約 10,690例 の子宮頸がんが診断されました。
2023年 の年間死亡者数は約 2,949人 に上ります。統計上の人口10万人あたり罹患率は 16.6例、死亡率は 4.7人、5年相対生存率は約 76.5% と報告されています 。若年女性(20〜30代)の罹患も増加傾向で、診断例のうち 約15% が20〜30代、上皮内がんを含めると 約38% がこの年代に集中しています。
他国では減少傾向にある中、日本の罹患率は近年上昇傾向にあり、世界主要国(G7)ではワースト1位です。
子宮頸がん検診について
子宮頸がん検診の受診率については、日本ではおおよそ40%程度にとどまっているのが現状です。一方、OECD加盟国の平均では、3年間で約60%以上の女性が検診を受けており、日本は国際的に見ても低水準にとどまっています。
この受診率の低さは、早期発見の機会を失うことにつながり、子宮頸がんによる死亡率の改善を妨げる要因となっています。受診率向上のためには、自治体からの定期的な通知や若年層への啓発が重要です。
参照: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html
(国立がん研究センター運営サイト)
HPVワクチンの重要性と現在の制度
子宮頸がんは、性交渉を通じて感染する ヒトパピローマウイルス(HPV) が主因です。
HPVワクチン(2価・4価・9価)は、感染前に接種することで、high-risk HPV(主に16型・18型など)による子宮頸がんの原因となるウイルス感染を防ぎ、将来的ながんの発症リスクを大幅に減らすことができます。
2022年4月からは厚生労働省による 積極的勧奨が再開され、キャッチアップ接種も実施されています。
公費助成の対象は現在、 2009年4月2日~2014年4月1日生まれの女子(小6相当〜高校1年相当)、キャッチアップ接種対象は 1997年4月2日~2009年4月1日生まれの17~28歳 で、2022年4月1日〜2025年3月31日までに「少なくとも1回」HPVワクチンを接種した方が対象。
1回目接種の期限:2025年3月31日までに開始(1回目を受ける必要あり)
2〜3回目接種の期限:キャッチアップ期間中に1回目を受けた方は、2026年3月31日までに残りの回数を公費で完了可能。
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が主な原因であり、HPVワクチンの接種と定期的な子宮頸がん検診によって、発症リスクを大きく低減できる予防可能ながんです。
参照: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html (厚生労働省)